概要
【Ever17】概要
最終更新:2021年03月11日 14:30
Ever17概要
同じ時間が何度も循環するループもののゲーム『infinity』シリーズの第2作目であり、最高傑作と呼ばれる。作中に仕掛けられたトリックの巧みさで知られており、ネタバレを忌避し感動を共有しようというファン意識から、プレイ後の感想が書かれたホームページではしばしば「全員クリア後に読んでください」という注意書きがなされていた。
欠点は説明に費やす描写が長すぎることとされ、次作『Remember11』でのTips機能導入につながった。
シナリオ構成
このゲームの主人公(プレイヤーキャラクター)は、倉成武と記憶喪失の少年の2名。シナリオは倉成武の視点でプレイする武編と、記憶喪失の少年の視点でプレイする少年編に分かれる。武編と少年編のいずれをプレイするかについては、シナリオの序盤でプレイヤーが意識的に選択する。リメイク版では、初回プレイ時は必ず武編となり、いずれかのグッドエンドを見た後に少年編を選択可能となる。
このゲームは恋愛アドベンチャーゲームに分類され、いわゆるギャルゲーの要素をもっており、それぞれのシナリオについて攻略対象ヒロインが設定されている。武編では小町つぐみと茜ヶ崎空、少年編では田中優と松永沙羅である。
物語中にはあるトリックがあり、またこれこそが物語の最大の鍵である。その伏線は八神ココのシナリオ(ココ編)以外の4編の随所に「不可思議な現象」として提示されるが、普通に1人をクリアしただけでは謎が解けるどころか、むしろクリア前よりも謎を多く残した形で終わってしまう。他の4人のシナリオでグッドエンドを迎えることで分岐可能になるココ編にて、この仕掛けの全てが明かされ、グランドフィナーレを迎えることになる。なお、ココ編は武編、少年編とも独立しているため、条件を満たしていればどちらの視点からでも突入可能である。
トリック
舞台は2017年とされているがこれは武編だけであり、少年編の出来事は実際には2034年に起こっている。つまり両編は同じ事象を2つの視点から描いているのではなく、場所こそ同じだがまったく別々の話なのである。両編に共通して登場する人物は、何らかの理由で17年経っても容姿が変わらないか、あるいはそっくりな別人である。
また、それぞれのシナリオに登場する「もうひとりの主人公」すなわち「武編における少年」「少年編における武」は偽物である。ギャルゲーではプレイヤーの没入度を高めるために主人公の顔を出さない、という定番の手法を逆手に取った演出であり、ココ編にて主人公の少年(ホクト)が鏡で自分の顔を見て武編の少年(桑古木)とまったく異なることに愕然とする場面では、多くのプレイヤーもまた驚愕したという。この場面での劇的な効果を生むために、それ以前における主人公は極力イベントCGに表示されないようになっており、劇中でも鏡が割れていて素顔に気づかないことになっている。本物と偽物双方の主人公を同一の声優が演じるのもミスリードのうちで、前作『Never7』のトリックを知るプレイヤーの中には「少年は武のクローンなのではないか」と思い込まされた者もいた。
田中優の本名が長すぎて常に略称を名乗るのも、2人の優が別人と悟られないようにするトリックの一部である。なお「優美清春香菜」「優美清秋香菜」は制作当時に中澤工がインターネット上の名前検索サイトで発見したものであり、本作品のために考案されたわけではない。
企画の経緯
もともとは『王様のレストラン』のように限定された場所だけを舞台とし、『キューブ』のような脱出ものを作ろうという、過去作とは関連のない独立した企画だった。シナリオ担当の打越鋼太郎が深夜1時のセビリア万国博覧会会場に迷い込んだときに感じた、にぎやかなはずの場所に誰もいないという非日常的な雰囲気を盛り込むため、舞台はテーマパークに決まった。しかし陸上では脱出もたやすいため、容易には抜け出せない海中のテーマパークが考案された。
プレイヤーの多様な嗜好に対応するため、熱血漢と内向的なタイプの2種類の主人公を登場させることは早くから決まっていた。その実際の演出方法に悩んでいた打越鋼太郎が誤って借りたビデオ『オーロラの彼方へ』からヒントを得て、空間ではなく時間を別々にすることを思いつき、トリックができあがった。
その後『Never7』の続編として制作されることになり、前作から「クローン」「キュレイシンドローム」「ヒロインの名前は『優+季節』」「月と海」「マグロ」などの要素が移入された。
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